【ぶんじch編集部】第11回コクブン人は、国分寺在住の庭園美術家、長崎剛志さんです。どうぞよろしくお願いします。まずはプロフィールをご紹介させて頂きます。
1970年奈良県生まれ、東京芸術大学卒業後独学で作庭を学び1997年N-tree(庭ノ心ながさ木)を設立。2008年から10年イギリスロンドンで活動後、東京に拠点を移して、庭園美術家として、海外の個人邸や寺社など様々なプロジェクトに携わっています。長崎さん本日はよろしくお願いします。
【長崎】こちらこそよろしくお願いします。
【ぶんじch編集部】今、プロフィールをご紹介頂きました。庭園美術家ということですが、具体的にはどんなお仕事をされているのですか。
【長崎】一言で言うと庭づくりの仕事になります。、木や石など自然の素材を使って空間を創造する仕事だと思っています。付け加えるとその空間を創るために色々な物語や哲学、造形美など美術的な要素を使って庭という表現をしています。
【ぶんじch編集部】言葉にすると少し難しい表現になりますが、庭づくりの中にすごく深いメッセージがあるのですね。
【長崎】そうですね。一般の造園というところと少し違うと思っているのは、自然の模写ではなく、自然を用いて美術的な空間、表現としてメッセージ性をもった庭づくりを心掛けてます。
【ぶんじch編集部】お話を聞くと、どんな作品に興味が湧いてきます。具体的にはどういうところでお仕事をされているのですか
【長崎】個人邸はもちろんですが、福祉施設や分譲マンションなどの外構、中庭、寺社などの庭も手掛けています。プロフィールにもありましたがロンドンでも庭づくりをさせて頂いてます。また、その繋がりでインドやフィリピンでも仕事をさせて頂きました。
〇イギリス庭園をベースにしながらモダンな日本庭園と融合(イギリス・ロンドンのビルの中庭)
〇熱帯植物と日本の石組(フィリピン・マニラの個人邸)(イギリス・ロンドンのビルの中庭)
〇雲と山の庭(山形県天童市の個人邸)
〇舟ノ庭(ザ・パークハウス両国レジデンス中庭)
〇集の庭(埼玉県川口市の障がい者施設の庭)
【ぶんじch編集部】ちょっと話は変りますが、海外でも活躍されている長崎さんが国分寺をすごく気に入っているということをお聞きしまして、国分寺生まれ国分寺育ちの私としては、とても嬉しく思っています。国分寺に住み始めたきっかけはなんだったんですか。
【長崎】国分寺には、10年前から住んでいます。ロンドンから帰国した時にそれまで色々な場所で生活をしてきたので一つのところに拠点を作って住みたいと考えていました。東京都内で考えると西東京地域は植木の生産者の方が多く便利でした。また、自分も奈良に住んでいて寺社仏閣に囲まれていて、今でもそういったものが好きで国分寺と言う地名にはなんとなく親しみもありました。実際に武蔵国分寺跡を歩いてみると自分が子どものころ遊んでいた平城宮跡と風景が似ていて重なるイメージがあったのと、国分寺というものが奈良時代に聖武天皇が全国各地に造ったということもありすごく奈良との縁を感じたのが大きな要因でした。
【ぶんじch編集部】そう言う話を聞くとこれから長崎さんにはどんどんこの地域に様々な形でかかわって頂きたいと思いますが、今後はどんな活動したいと考えてますか。
【長崎】今は10年前より雑木林や畑など緑が少なくなってきているので、国分寺が緑豊かな場所であってほしいと思っていて、そういうお手伝いができればと考えています。また、武蔵国分寺跡に遊びに行ったり、花見に行ったりする時に考えるのは、この場所に、もう一度武蔵国分寺の再現する計画があって、その時は、自分も庭づくりに係れたら嬉しいなと思っています。全国に古いものをそのまま作り直すプロジェクトはやっていますが、東京の面白い所は新しい感性や時代性、考え方を注入して新しい再建ができるところなんだと思っています。1300年前のデザインや技術を用いて今の感覚で再建をして、それをさらに1300年後に残していく、そう言ったことに自分は興味をもっています。今造っても1300年後には古いものになるのでそういうところにロマンを感じます。今から1300年後に2600年前のものを残すのでなく、今があってその先に1300年後がある、前にあったものをただ残すだけでは発展性がない気がします。
【ぶんじch編集部】確かに時間の流れとか後世からの評価とかそういうことを今を生きている私たちが考えることはとても重要だと思いますし、夢のある話ですよね。
【長崎】実際に1300年前に作った人たちも未来のことを意識して造っていたとおもうのでそういうものが未来から見て残る作品だと思っています。常に過去・現在・未来というものを考えて造っていきたい。
【ぶんじch編集部】お話をお聞きして、改めて国分寺でたくさんお仕事をして頂きたいと思いました。
【長崎】あと、もう一つ考えているのが、若い人たちに庭のことや庭づくりのこと、自然に触れて仕事をするということの魅力や、そういう機会があるということを知ってもらいたいと思っています。私もフリーランスでずっと仕事をしていますが、安定を選ぶのではなく若い人たちに自分で起業をして新しい庭の世界を創ってもらいたい、それが新しい庭の魅力に繋がって多くの人に伝わるといいなと思っています。庭で遊ぶということを知ってもらう。日常に対して少し安らげる場所がある。そういう場所が多くできたらいいなと考えています。
【ぶんじch編集部】確かにどの職種でもそうですが、若い人たちに入ってきてもらうというのもすごく大切なことですよね。今は自分たちの活動をSNSなどでどんどん発信できる時代です。そういった意味では美術的な庭の取り組みも以前より入りやすくなっている気がします。最後にいつもお聞きしているのですが休日の過ごし方や趣味などを教えて下さい。
【長崎】今はコロナで外出はしづらい環境ですが、家に庭があるので子どもと庭あそびをするのが好きです。あと健康のために国分寺パライーゾでフットサルをやっています。
【ぶんじch編集部】今日はありがとうございました。
本日のゲスト長崎剛志さんが参加しているイベントのご紹介です
「庭のしごと」時代に左右されないリアルな存在
開催概要:関東を拠点とする庭師5名が集い、庭造りの素晴らしさ、モノづくりの
楽しさ、またフリーランス活動する魅力を若者たちに伝えます。
開催期間:2021年2月6日(土)、7日(日)(緊急事態宣言により延期させて頂きます。)
開催場所:ギャラリー・room103 国立市北2-13-48-103
参加無料・事前予約制・詳細はこちら→https://niwanoshigoto.wordpress.com/
*上記「庭のしごと」展ですが、新型コロナウィルス感染拡大を鑑み、2月6日・7日の開催を延期させて頂くこととしました。開催日につきましては、改めて詳細を上記、ウェブサイトにてお知らせ致します。何卒ご理解のほど、宜しくお願い申し上げます。