国分寺市内で活躍する人にスポットを当てて紹介するコーナー

コクブン人 第9回 教育ファシリテーター 寺島つむぎ 様

第9回コクブン人は、ぶんじchの教育コラム「等身大教育コラムBunji Edu」を担当して頂いている寺島つむぎさんです。寺島さんは国分寺歴30年、以前はマイクロソフトの教育チームで全国の学校向けにプログラミング教育のトレーニングを実施していて、現在は家族の転勤に伴い米国テキサス州にお住まいになっています。2014年度国分寺市立第九小学校PTA会長及びPTA連合会の副会長を務められました。現在はテキサス州にお住まいなので、今回はSkypeを利用してのリモート対談となっています。

【ぶんじch編集部】寺島さん今日はよろしくお願いします。

【ぶんじch編集部】寺島さんには、ぶんじchの「等身大教育コラムBunji Edu」でお世話になっていまして、毎回、興味深い記事ありがとうございます。寺島さんはこちらにいた時から、教育関係のお仕事もされて、地域の教育活動にも熱心に参加されていたのですがそもそもの活動のきっかけなんだったのですか。

【寺島】2014年度に国分寺市立第九小学校のPTA会長を務めさせて頂いたのが地域の教育に関わる最初のきっかけです。

【ぶんじch編集部】そうなんですね。ちょっと意外です。もっと前から携わっているのかと思いました。PTA会長には初めからなるつもりだったのですか。

【寺島】会長を選出するのに互選会というのがあるのですが、その時は、副会長など他の役職は決まっていたのですが、会長がなかなか決まらずに時間ばかり過ぎている状況でして…

【ぶんじch編集部】それって良く効く話ですよね。全ての役職が決まるまで帰れないって聞いてます。

【寺島】そうなんです。場合によっては、翌週また集まる。それだとみんな困るのではないかと思いまして、既に決まっている他の役員が熱心に活動して頂けそうな皆様だったので一緒にやってみたいと思い手を上げました。始まってから3時間くらい経ってましたが(笑)。実際にやってみたら活動の頻度が高かったので、良い経験になった部分と実際にしんどかった部分があってとても濃い一年間でした。

【ぶんじch】実際にPTA会長になってどんな事を感じましたか。

【寺島】当たり前の事ですが子ども達のために動くという考えを大切しました。PTAは良い活動もたくさんしているけど、長い歴史があるので今までの慣例や会則などに縛られがち、会議のための会議であったり、今の子ども達の現状、置かれている立場とはギャップを感じることがありました。なので何か行動をするときは、子ども達の学びや幸せに繋がっているかを基準に考えて、その考えをPTAの役員や会員の皆様と共有することを心掛けました。

【ぶんじch編集部】その後もPTA連合会などで活躍されましたが、お仕事の方はマイクロソフトの教育チームで働いていらっしゃいますがそう言ったことも役立ってますか。

【寺島】実を言うと、地域でPTAなどに携わったことがきっかけで教育関係の仕事に移ったのです。

【ぶんじch編集部】え!そうなんですか。

【寺島】そうなんです。もともとマイクロソフトで働いてはいたのですが、この機会に教育チームの方に異動したいと上司に直訴をしました。ちょうど空きがあったので念願が叶ってそちらで働くことになりました。こちらに引っ越してくる2019年度までの約5年間ですが、全国の学校の先生と一緒にこれからの教育の質を上げるためのお手伝いをしてきました。

【ぶんじch編集部】具体的にはどんなことをして来たのですか。

【寺島】子ども達の学びの質を上げるための全教科、全般的なことをやるつもりでいたのですが、たまたま2020年度から学習指導要領の改訂に伴い小学校でプログラミング教育が始まることになったので、マイクロソフトとしては、プログラミング教育を扱うことになりました。プログラミング教育先進国のアメリカや北欧などの先進国事例などを紹介したり、プログラミング教育のためのツールの導入などを進めてました。こちらに来るまでは、全国を飛び回ってました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本で仕事をしていた時の写真、子ども達にパソコンを教えてます

【ぶんじch編集部】仕事で教育に携わることになった経緯も含めてすごいバイタリティですね。そして、昨年の6月にアメリカのテキサス州の方にご主人の仕事の都合で移住されたわけですが、そちらの生活はいかがですか。

【寺島】現在は新型コロナ感染症の影響でStay at homeということになってまして、食料品や薬局、銀行以外への外出は禁止されている状況になってしまいましたが、だいぶ慣れてきました。渡米した当初は、思ったよりもこちらのカルチャーに適応するのに時間がかかって精神的に落ち込みましたね。もう少し自分ではできると思っていたのですが…

【ぶんじch編集部】それは言葉以外の問題で慣れるのに時間がかかったということですか。

【寺島】そうですね。言葉の問題が一番なんですけど。何をするのにも時間がかかってしまって、例えば車を運転するにしてもルールが違いますし、こちらはスピードを結構だして運転します。あと一番、きつかったのがこちらは歩く文化が無いということです。国分寺にいた時は散歩なども頻繁にしていたので、こちらは歩くのも危険ですし、買い物するにしても車じゃないと遠いのでやはりこちらは車文化ですね。あと適応と言う意味では、義務教育が充実している地域だったので、子どもにとっては良かったと思います。適応するのに時間が係るかなという心配があったのですが学校の先生方やクラスメートのおかげで「学校に行きたいくない」ということもなく無事にこちらの中学校を卒業することができました。

【ぶんじch】教育等身大コラム「Bunji Edu」でそちらの学校の状況などをレポートして頂いてますが、改めて日本の教育との違いどのように感じていますか。

【寺島】違いの一番大きなポイントは、子ども達のどんな力を育みたいか、何を育成したかというところです。日本の2020年度改正の学習指導要綱では、(1)知識及び技能が習得されるようにすること。(2)思考力、判断力、表現力等を育成すること。(3)学びに向かう力、人間性等を涵養すること。となっていますが、日本では(1)知識及び技能が習得されるようにすることが一番重要視されていて、それがアメリカは(2)の思考力、判断力、表現力等を育成すること。が一番になっています。それが顕著なのがアメリカの学校には共通の教科書が無いです。どんな教材を使って、どんな授業をするかは担任の先生の裁量に任されています。日本では教科書があって担任の先生はその教科書の内容を教えるのに追われている気がします。アメリカでは例えば数学の公式をいきなり教えるのではなくて、まずは課題を出して子ども達に考えさせて、好きなように表現をさせて回答をさせます。その後で、「この問題を解くにはこの公式ですよ。」と言うような教え方をします。いきなり知識の習得ではなくて、まずは自分で考える、表現するといったことを優先しています。

それともう一つ、日本との大きな違いが日本では共通、平等ということが重んじられます。それはこちらに来て日本のすごく良い所だと感じました。アメリカでは義務教育(アメリカでは高校までが義務教育)であっても、住んでいる地域で教育の質が全く違うのです。なので新しく家を探すときは、家の広さとか近所にある施設とか、職場に近いとかよりも、子どもの教育レベルがどうなっているかを基準に考えます。ご存知だと思いますが、アメリカと言う国は日本に比べれば、かなりの格差社会であってこういった教育格差が原因になっているのではなかと思います。日本では例えば国分寺から三鷹の学校に移ったとしてもここまで大きな違いはないと思います。

【ぶんじch編集部】そうなんですね。確かに日本の平等、共通ということは日本の強みではあるかと思うのですが、反面、全体に合わせすぎるというか、横並びみたい感じで個性を伸ばすという側面が弱い思うのですがその辺はどう思いますか。

【寺島】おっしゃる通りでそこが日米の違いの二つの目のポイントだと思います。日本は共通、平等でアメリカはカスタマイズです。そもそも教科書もないくらいですから、それぞれの個性や習熟度などに合わせて学習を行います。具体的にはほとんど全ての教科がレベル別に20人位のクラス編成がされています。さらに凄いなと感じたのはそのクラス中でも各個人に合わせてカスタマイズしてくれます。生徒の苦手な部分に応じて先生が課題出したり、教科のフォローをしてくれたりしますし、逆に得意な部分については、それを伸ばすような指導もしてくれます。日本にいた時は、仕事で学校によく行っていたので思うのですが、日本の先生は会議があったり、その他色々と担当する教科以外にやることが多いですね。こちらの先生は、担当する教科以外のことはやらないです。その分、授業や生徒に集中できるのではないかと思っています。

【ぶんじch編集部】ありがとうございます。次に今はStay at homeなので気軽に外出とはいかないと思いますがそれ以前は、休日はどんな過ごし方をしてましたか。

【寺島】基本的には、自然豊かな田舎町に住んでいるので、犬の散歩と家族総出の買い出し、それと家族で食事ですね。これはうちの家族だけではなくて、私の住んでいるテキサス州の北部の方々の一般的な過ごし方なのではないかと思います。先ほども話したようにこちらは車社会なので、別々に行動するより週末は一緒にいた方が良いということでほとんど家族で過ごしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカテキサスでの寺島さん、愛犬と一緒に散歩

【ぶんじch編集部】お聞きしてると確かにアメリカの休日という感じがします。今、コロナウィルス感染症拡大の影響でこんな状況ですが、お互いに早く自由に外出できるようになると良いですね。今日はありがとうございました。